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Liebe geht durch den Magen.

 戸をぴっちり閉めていても、小さな隙間から冷たい風が流れ込んでくる。反対方向から来るヒーターの温風を頼りに、私は彼が出てくるのを今か今かと待ち続ける。それとは反対に、両腕で身体を擦りながら、自分が今どんなにみっともないことをしているか、頭の中のもう一人の私が非難する。自分でもらしくない行動だけど、普通に考えても奇妙で不審だった。私はいつからこんな気持ち悪い女になってしまったのだろう。冗談じゃなく、変質者として扱われてもおかしくないような行為に及ぼうとしている。いや、既に実行中なのだ。恥ずかしさと情けなさで涙が出てくるけれど、結局やめようとはしないのだから私は本当に気が狂ってしまったのかもしれない。...mehr lesen

Geteilte Freude ist doppelte Freude.

 月のものが数度にわたって遅れ、もしかしてと思いながら受診すると案の定、この身に彼の子を宿していた。遠い極東の国からこの地に、そしてバイルシュミット家に嫁いでから二回目の秋を迎えてのことだった。年老いた医師から頂いた「おめでとう」という賛辞の言葉も、私にとっては遠い世界での出来事のように思えてならなかった。未だぺしゃんこのこの腹の中に、新しい命が宿っているというのも現実味がなく、夢か幻のようだ。なかば茫然として家に帰りついた私を待っていたのは、夫になんと言って打ち明けたらいいのか、という大いなる不安だった。...mehr lesen

ままごと

 兄に手を引かれて入った質素な部屋に、一人の女がいた。よう、という兄の声に振り返った彼女が俺を見下ろして、微かに微笑む。俺とは、俺達とは正反対の明度の低い色素を持つ、睫毛の長い女。否、女の人。はじめまして。君がルートヴィヒ君かな。よろしく、と彼女が手を差し出しているのを舞台の役者を見る心境で眺め、我に返り慌てて自分の小さな手を彼女のそれに合わせる。俺の頼りない、短い指が彼女の手を掴む。何だか気恥ずかしくて彼女の顔をまともに見れずに、視線はずっとその二人の繋がった手に落ちていた。...mehr lesen

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